魔女・ふたり・・・ 第1話

帰路

*「おつかれさま!」

*「今回の仕事はきつかったデスネー」

*「もうヘトヘトだよ…」

*「とりあえず、飲もうぜ!」

*「ちょっと大変だったけど、こうして仲間もできたし良かったかな」

 

冒険者たちはダラズ鉱山での仕事を終えたところだった。

もともと知り合いだったわけではない。

今回は鉱山での採掘作業をするドワーフ達を魔物の襲撃から守るということで多くの冒険者が雇われた。

そこで出会い、仕事をともにするうちに意気投合した…というわけである。

 

今回の仕事はとても単純だった。

が、大変だった。

何しろ冥王ネルゲルが現れて以後、魔物達や凶暴な亜人達の活動が活発になり、この鉱山も例外ではなかったのである。

 

来る日も来る日も我が物顔で鉱山を歩く竜人族の相手や亜人どもに奪われて暴れまわる掘削機械との戦いを繰り広げたので心身ともに疲労困憊。

屈強なことで知られるオーガ族の戦士ですら例外ではなかった。

そんな仕事を終え、すっかり打ち解けた仲間となった一行は共に帰路へとつく。

ギルドの約束事で、報酬は現地では受け取れないのだ。

 

面倒なことにわざわざレンドアの本部まで戻り、そこで手続きを経なくてはならない。

そしてはじめて、あらかじめ依頼者により預けられていた報酬を受け取ることができる。

冒険者を名乗る者の中には野盗とさほど変わらないような連中もいる。

現地での直接やり取りのみでは依頼を反故にし、報酬のみを奪い取ってしまう輩もいる。

そんな被害を少しでも減らし、冒険者の立場と名誉を守る。そんな理由から作られた約束事だった。

 

レンドアへ向かうため、一行は鉄道の駅がある岳都ガタラへ…

 

 

*山岳地帯の道を抜け、途中途中の絶景に足を止める冒険者達。*

*その景色の雄大さと自然の力強さの前に仕事の疲れなど忘れてしまうほどだった。*

 

疲れからテンションが上がっていた冒険者はひたすら橋の上から意味不明な言葉を叫び続けたとか…

この時の叫びは周囲で木こりを営むドワーフ達の間で「地獄から怨霊達がやってきた」と一時期噂になったそうだ。

 

名もなき村落

冒険者たちは途中で名もなき小さな村落で足を止める。

ガタラへ向かうには強行軍という手段もあったが、依頼完了の旨は雇い主からギルドへ連絡が届く。

そして手元にある「完了済み」のハンコが捺された受注書さえあれば報酬がもらえるので無理に急ぐ必要もない。

ここで一夜の宿を求め、体を休めていこうと判断したのである。

 

(うん…? 少し空気がおかしいな…)

この時、一行の中にいる風の流れに敏感なエルフ族の男性は違和感を覚えていた。

 

BGM:DragonQuest4より「エレジー」

マスターのDTM作品です。

あらあ…あんたら悪い時に来ちまったもんだなあ…

悪いことは言わね、はやめにここを立ち去ったほうがええだよ。

 

一晩の宿を求める一行に宿の店主は告げる。

来客に対し、開口一番立ち去った方がよいとは一体何があったのか冒険者たちは尋ねるのだが、こういうことだった。

 

ここらではな、近頃悪い病が流行ってるんだべ。

はじめて見るおかしな病でなあ、おら達ではどうにもできねえんだ。

罹ってしまったら大変だから長居せんほうがええだ。

腕自慢の冒険者さん達でも病気のことは何ともならねえべ。

更に店主は続ける。

 

ここに来る途中で見たんでねえべが

そこいらをうろつく骸骨どもを

あいつらはな…魔物じゃねえべ、病を患った人たちの成れの果てだべ

 

まさか、あの不死の怪物どものように見えた輩が魔物ではないとは!

冒険者たちは恐怖で身震いをする。

そのような病、当然今まで見たことはなく、聞いたこともない。

ただ、エルトナ大陸出身のエルフは感じ取る。かつてアズラン地方「木かげの集落」周辺で流行の兆しを見せた凶悪な病と症状こそ違えども空気が似ているのだ。

 

恐ろしい病の兆しに打つ手なし…か…

顔を見合わせ考え込む冒険者たちに店主は表情をやわらげこう続ける。

 

おら達の村はもうダメかもしんね。

だどもな、希望がないわけでもねえだよ。

近頃ふらりとここを訪れたおなごがおってな、そうさなあ、魔女って言う感じで真っ白で綺麗な衣装のなあ…

 

店主が言うには、そのどこから来たともわからぬ正体不明の魔女は集落の様子を見て驚いたような顔をし話を聞いて回った後に村落を後にした。

しばらくして再度村を訪れた彼女は見たことのない薬草を持ってきてくれたという。

それを煎じて与えると、感染して日が浅く意識がある患者たちは日に日に快方に向かったのだ。

以後、彼女がたびたび薬を持ってきてくれるので病の広がりは落ち着きつつあり、感染者も治る見込みが出てきたので村落もだいぶ明るさを取り戻してはいるとのことだ。

 

もっとも新たな感染者がゼロにはなっていない為、魔女が来てくれなくなったら…と考えたら絶望的な状況に変わりはないのだが…

 

なにやら思いがけず深刻な場面に遭遇した冒険者たちだったが、話を聞く限り自分たちにどうにかできることではないと考え、一泊の後、予定通りにガタラへと向かうことを決めた。

 

~つづく~

 

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【ハカセ】

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