魔女・ふたり・・・ 第2話

岳都ガタラ

一体、あの病はなんだったのだろう。

原因は何か…本当に打つ手はないのだろうか…など冒険者達は口に出さずともそれぞれに考えていた。

 

しかし、君子危うきに近寄らずという言葉もある。

はじめからできないとわかっていることに手を出して感染者を増やしたら本末転倒。その位のことはよくわかっていた。

 

それがゆえにレンドアへ戻ることを選んだのだ。


ガタラに着いた一行は次の列車が到着する時刻まで酒場で一息つくことにした。

何しろ、少しは休めると思い立ち寄った村落があの有様だったのだ、心まで休まるはずがない。

ようやく一息つける…これが本音だった。

 

そんな彼らのひと時の安らぎを奪ったものがある。

大声だ。

酒場に居た他のグループから突然大声が聞こえたのである。

 

うそじゃねえ!!

あの小屋の側を通った時、俺はたしかに見たんだ!

部屋から漏れる明かりで映し出されたあの影は…

人間のそれじゃなかったんだよ!

 

興奮気味に叫んだのはウェディの男だった。

彼の仲間たちはどうせ酔ってたんだろうとか、たまたま灯りで大きくなった影に驚いただけだろうとか言って笑いながらまともに相手をしてはいなかった。

 

あまりにまともに話を聞いてもらえないので大声で叫んでしまったようだ。

 

「まあ、兄ちゃん落ち着きな。

いったい何がどうしたってんだ、詳しく話してみなよ。」

 

あまりの騒ぎに落ち着かなくなった冒険者は席を立ち、彼に声をかける。

静かにして欲しい気持ち半分、話の中身が気になるの半分だ。

 

彼の話によるとエゼソル峡谷の奥地からの帰り、ある小屋のそばを通りかかったそうだ。

時間は日もすっかり落ちた夜、ランタンの灯りだけが頼りの中、遠くの光で小屋に気づいた。

その光を頼りに小屋に近づいたのだが、そばまで来ると窓から漏れる明かりとともに映る影の様子がおかしなことに気づいたという。

その影の大きさは尋常ではなく、形も人間ではない何か魔物のような形だったと言うのだ。

人が住んでいるだろうと考え、あわよくば一晩泊めてもらおうと小屋に近づいた彼だったが、ここは命あっての物種、静かにその場を離れ、気づかれた様子がないことを確認すると一目散にガタラへと帰ってきたという。

 

*「ふむ、何とも奇妙な話だな…」

*「大きな魔物なのに小屋に住んでるなんて…なんかかわいくないか?」

*「そこじゃないだろ!!」

*「中に住んでいた人はどうなってるんだろう」

 

話を聞いた冒険者達は各々思ったことを口に出す。

興味津々な者、正義感から住人の心配をして小屋を見に行こうと言う者、余計なことに首を突っ込まないで報酬をもらいに帰ろうと言う者…意見はバラバラだ。

 

彼らがワイワイやっているとウェディの彼が口を開く。

 

忠告しておくぜ、悪いことは言わねえ、あの小屋には近づかない方がいいぞ。

何が出てくるかわからねえ、命あっての物種だからな。

 

確かにそう、それがいい。

間違ってはいないのだが…

 

魔女との邂逅

 

恐怖心より好奇心が勝ってしまう冒険者、人道主義の冒険者、流されタイプの冒険者、巻き込まれタイプの冒険者、ここには様々なタイプの冒険者が集っていた。

こうなると強いのは好奇心、人道主義。

彼らの主張に流されタイプや巻き込まれタイプは文字のごとく流され、巻き込まれ…

結果として一行はエゼソル峡谷にあるという小屋を探しに行くこととなった。

※シスターは見なかったことにしてください
※シスターは見なかったことにしてください

「あの小屋がそうじゃないか?」

誰ともなくそんな言葉が出てきた。

峡谷を進んでいくと少し開けた土地にポツンと木造の小屋が建っているのが見えてきた。

 

冒険者達はおそるおそる近づくと中の様子を遠巻きに伺う。

が、特に怪しい気配はしてこない。

昼間ということもあるが、中の様子が影となって見えてくることもない。

だからと言って中に入ってみることもできず、どうしたものかと頭を悩ませていると玄関の戸が開き、中から一人の人物が出てきた。

「あら、貴方たちは?」

姿を見せたのは白い衣装に身を包んだ女性。

一言であらわすと【魔女】の単語がふさわしいだろう。

 

彼女を見た冒険者達が思い起こすのは村落で聞いた魔女の噂。

この人がそうかもしれないと誰もが思うが、まずは魔物の影が先だ。

しかし、そのような魔物は見たことがないと言うし、もしかしたら魔法を使った時の様子を見間違えたのかもしれないと言う。

それならもう、魔物について問うことはもうない。

 

そんな時に一行の一人が口を開いた。

*「貴女はここで何をしてるんですか?」

 

私? 薬を作っているのよ。

特別な薬草を使った薬をね、今日もこれからその薬を必要としている村に届けに行くところよ。

 

ここまで聞けばもう間違いない、彼女があの村で聞いた魔女に違いない。

そう思った冒険者達はあの村で見てきたことを話す。

 

そう、あの村のことを見てきたのね。

それならいかに大変なことが起きているかわかるでしょう?

私が一人で薬を用意して届けるだけじゃなかなか追いつかない…

でも、貴方たちに手伝ってもらえば一度で沢山運べる。

よかったら、この薬をあの村に届けてはくれないかしら。

 

彼女の目的が何なのか、村人を救おうとする善人なのか、善人を装って本当は病気の原因を作っている本人なのではないか、様々な思いが冒険者達の中には渦巻き、何一つわからない。

ならば確かめるしかない。

 

裏には何があるのか、何が正しくて何が悪いのか。

自らの目で確かめ、考え、判断する。

 

それが冒険者だから。

 

かくして平凡な依頼を終えていつも通りに報酬を受け取りに向かうはずだった冒険者達は思わぬ事件に巻き込まれてしまうことになったのだった…

 

~つづく~

 

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【ハカセ】

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